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第5号 不定期通信『②代目の独り言』

● 『 手 紙 』●               

                                                                                                                                                                                                                                                                                               第5号:2009.夏

 

 今年3月、長男が中学校を卒業しました。私は卒業式には出席しませんでしたが、アンジェラ・アキさんの「手紙」が合唱されたことを妻から聞きました。

NHK合唱コンクールの課題曲として書き下ろされたこの歌は、中学生の間で強い共感を呼び、全国の卒業式で歌われ、世代を超えて広がったようです。

 

流れるような美しいメロディーにのった歌詞をじっくり味わうと、すっかり大人になってしまった自分にも、なぜか込み上げてくるものがあります。

 歌詞のように、もう15歳の自分が、未来の自分に手紙を書くことはできませんが、今の自分が、15歳だった頃の自分に手紙を書くとすれば、伝えたいことがいくつかあります。

 

15歳の君(自分)へ・・・ to my 15 year old self

拝啓

 

元気でやっていますか。

 僕は未来の君です。タイムマシンでちょっとだけ君の未来を垣間見せながら、先を行く先輩として、アドバイスをさせてください。

 今の僕、47歳の君には、君と同じ15歳になる長男と12歳の長女がいます。だから、この手紙は君の子ども達に宛てて書いているような気もします。

 

 君はサイクリングが好きで、夏休みには、仲のいい友達と宿泊しながら、室戸岬へ行ったり、淡路島を一周したりしましたね。高校2年の夏休みには、ブルートレイン(寝台列車)に分解した自転車を積み込み、現地で組み立てて、富士山の周りを一周する旅に出ます。オジサンになっても再び自転車の魅力に目覚め、45歳にして160 Kmを走破するイベントにも参加します。そんな君の息子は、5歳のとき、十数キロ離れた住まいから、補助輪の取れた自転車で店までやってきて君をびっくりさせます。何か不思議な気がするでしょ。・・・

 

ところで15歳の君はどうしていますか。

努力した甲斐あって、希望の高校に進学できてよかったですね。でも優秀クラスのなかでは、がんばってもなかなか結果が出せなくて落ち込んでいるみたいですね。中学のときは、バスケットボール部の活動や趣味の自転車も楽しみながら成績もわりと良かったけれど、今のクラスの連中は勉強オンリーだし、このクラスは君には向いていないのかもしれませんね。

 悩んでいる君に、僕からこれだけはアドバイスできます。勉強はできないよりできた方がいい。成績がいいことは素晴らしいことです。でも社会に出たら、それが一番大切なことではありません。学生のときでも社会人になってからでも、僕が一番大切だと思うのは“素直な心”です。それを忘れないで、学生のときは勉強に励んでください。僕は大人になって勉強する時間がほとんどなくなってから、本当に勉強したいと思うようになりました。

 

 君はこれからたくさんの経験をします。

 

大学へ進学したらある人が君にこう言います。

「大学では、友達を作ろうと思ったら、たくさんの友人ができるけど、作ろうとしなかったら、一人の友人もできないよ。」

これは大学に限ったことではありません。

 

 何度か恋愛や失恋も経験します。

 でも必ず君にぴったりのパートナーに出会って、子どもができ、たくさんの学びを得ます。

 

 今の僕には、華やかさはありませんが、自分と出会う人々や触れ合うスペースを、ささやかな光ではあっても照らしていけるような、そんな存在でありたいと願っています。

 

46歳の夏に体調を崩してしまいました。慢性的な痛みのつらさに、くじけそうにもなってしまいます。自転車にもしばらく乗っていません。でも、15歳の君にこうして手紙を書いていると、君から励まされているような気がしてきました。いろんな考えや思いが整理されて、本当に大切な“素直な心”がはっきり見えてくる感じがして不思議な気持ちです。・・・ありがとう。

 

 さあ、僕たちの外側の世界で何が起こっても、穏やかにお互いの今という瞬間を味わいながら、悠々と生きて行こうじゃないですか。決して人生は捨てたものではないですよ。

敬具

未来の君より

15歳の君(自分)へ

 

最後まで読んでくださりありがとうございました。